パワハラ問題学習会に参加
2月9日(日)午後1時半より、名古屋市のイーブルなごやにて、主催:女性ユニオン名古屋、共催:ユニオンみえ・名古屋ふれあいユニオン・ユニオンと連帯する市民の会 で、いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター代表 千葉茂さんを講師にお招きして、学習会「パワハラ防止法をユニオン活動にどう活かすか」を行ないました。主催は東海ネットに加盟する各団体であり、千葉さんも全国交流集会でもお世話になる全国ネットの運動の先輩です。当ユニオンの組合員・賛助会員が10名近く参加したほか、会場いっぱいの参加者で、賑やかに行なうことができました。
講演は、1時間半ほどで、「職場のハラスメントについて」を副題にして行なわれました。パワハラ防止法に対する評価の問題もあり、どう活かすか、という観点にこだわらずに、ハラスメントについて話したいという趣旨でした。実際、ハラスメント全般について、しかもユニオン活動と関連づけて話していただきました。
最初にイントロダクションとして、職場のハラスメント(いじめ)とは、についての説明でした。まずパワハラが、労働者の尊厳を否定されることであり、それを会社の側から“調整”しようとするのが防止法であり、包括的禁止になっていない、としました。そして、使用者はパワハラでないところで働くようにする安全配慮義務がある、としました。
次にパワハラ防止法をめぐって、個人の指導上の行き過ぎの問題ととらえ、企業の措置義務という形をとったにとどまり、人権・労働問題とみなす労働者側には活用しにくい、との評価をしました。そのうえで、職場のいじめ問題がクローズアップされるまでの経緯を紹介しました。90年代に入ってから、モラルハラスメントとの言葉がヨーロッパで使われ、精神的健康を傷つけることが問題化され始め、日本でも2000年代になって精神的苦痛を与える行為を問題とし、トップマネージメントの責務とされ始めたが、「働き方改革実行計画」の実現をめぐる議論の中で、要件が厳しくなり、「精神的」苦痛も削除される方向で「パワハラ防止法」が成立したとのことでした。そのためこの法は、パワハラか否かの線引きの話になり、パワハラ行為への罰則規定もなく、防止の実効性は確保されない、とし、法律違反かどうかだけでなく、正義か否か、不当か否か、を問うユニオンの出番だ、としました。そのうえで、法成立に付帯決議を採択させた世論の力で、昨年6月のILO条約採択に政府を賛成させた、とし、しかしこの条約の批准には法改正が必要となる、として、本当の労働者の保護法を、と呼びかけました。そして、労働契約法では労使間の労働契約に関するルールを明確化したもので、契約内容は実際には力関係で決められるので、就業規則にパワハラについて明記したり、安全配慮義務規定を活用したりが可能だとしさせるべきました。
そのうえで、労働者の職場環境について、まず会社がストレスを作っていることを明らかにしたうえで、人間を評価し、コミュニケーションを実現するのではなく、個別分断化を進め、声を挙げられないように被害者を追い込み、人格権を侵害し、労働法違反が進んでいる。労働相談を受ける側さえ深刻な状況になっているほどだ、としました。そしてパワハラを取り巻く情勢について、職場のいじめの実態をふまえ、早期に発見し対応する必要がある、実態としては、加害者・被害者・観衆(同調者)・傍観者という構造があり、人間関係がバラバラにされる。こうした実態は世界的傾向でもあり、何とかしようと捉える人が必要、としました。
そこでどう対応するかについては、じわじわと劣化する職場環境に声を挙げないといけない、労働者はそれができるし、逃げて環境を変える手段もある、ユニオンは環境改善の役割を果たす必要があるし、パワハラ問題は予防・早期対応(まず具体的に、その後法の活用)・相談へのユニオンとしての取り組みが大事、とし、労働者は職場を治療し人間関係という最大の労働条件を実現しようと呼びかけて、講演を終わりました。
休憩後、参加者の質疑応答・感想に移りました。法の活用の方途を探る意見、多くは確信犯である企業に対しては強く出るべきとの意見、日本のパワハラは理解できないとのボリビア人の意見、孤立化が職場だけでなく市民生活に広がっているとの意見、職場では自分も巻き込まれ悩んでいるという意見、人間関係づくりの方法を学ぼうとの意見、いじめは悪質化しているとの意見、自殺者が減ったというのはトリックで、実際は減っていないし、表面化したり、労災認定は、ほんの一部との意見、若者は仕事で苦労しており、SNSで労働組合を知らせていこうとの若者の意見・・などなど、意見は次々に出て、閉会時間が来てしまいました。千葉さん、参加した皆さん、ありがとうございました。お疲れ様でした。