東海労働弁護団第62回総会に参加
10月23日(土)午後1時半より、ウインクあいち(+Zoom)にて、東海労働弁護団第62回総会が開催されました。労働組合の参加も歓迎していただいている関係で、当ユニオンからも5名規模で参加しました。
第一部は後藤団長が、労働組合が信用を得ている現状を知り労働組合の社会的意義を再認識したエピソードを交えてあいさつをした後、白川事務局長が、活動報告と方針提案を行いました。次いで日本労働弁護団の植田事務局長が本部報告を行いました。本部報告では労働法制に関する情勢が詳しく述べられ、特に、裁量労働制の適用拡大や解雇の金星解決制度に関して、来年法案として提案されてくる可能性があることや、有期雇用労働者の無期転換にかんして、不更新条項が重要な問題と強調されたのが特徴的でした。次いで白川事務局長が人事・会計案を提案しました。
以上を受けて討論に入りました。討論では、県労働委員会を労働者のためになる労働委員会に改善していく必要性をめぐる話や(当ユニオンの浅野前委員長も、労働者委員に立候補している立場から発言しました)、不更新条項の導入にどうやって対応するかをめぐっての話が中心でした。そして最後に、提案を採択して第一部を終了しました。
休憩後、第二部の記念講演に移りました。コロナ禍の中で公務員の重要性がまずます明らかになっている中で、早津裕貴先生(金沢大学法学部准教授)を講師に、「非正規公務労働者の法的問題」をテーマにして行われました。
早津先生はまず、日本の公務員制度が公務に携わる人をすべて公務員としているものの、判例や実務では戦前同様に官吏的な面を強調していること、反面で非正規公務員が公務部門の2~3割を占めるようになってきたり、非正規でも国家公務員と地方公務員で待遇差を法で定めていたり、法の趣旨にそぐわない会計年度任用職員制度の実態があったり、専門職も非正規化が進んでいたりすること、などなどの実態があり、こうした非正規化は民間と同様の問題であるにもかかわらず、法の面でも、民間と異なり労働契約法もパート有期法も適用除外とされているように、権利制約は正規同様なのに、正規のようには公務員法上の保障もないという、法の狭間に置かれている、という、非正規公務員の実態を明らかにし、こうした実態は、労働法が適用される民間委託により公務員としての保障が脅かされている諸外国に比べても異常としました。
しかし、こうした実態があるにもかかわらず、行政実務や裁判例や学説の立場は、公務と民間の違い、公法と私法の違いを二者択一的に強調したり、正規と非正規の二分法になったりしていて、正規と非正規の分断、全体として労働の劣化につながっているとしました。そして、雇用保障の面でも、有期の任用からの転換に高いハードルを設けたり、任用と契約の違いを強調したりしている。しかし、公務員制度において、無期が原則で有期が例外とすべきとしました。そして、処遇の面でも、パート有期法の適用除外とされているが、この法で謳われている均等・均衡待遇問題を、公務員の勤務条件法定主義・条例主義において実現すべきであり、こうした非正規問題に、労働組合(職員団体)や国民・市民が共感して関わっていく必要があると締めくくって、一時間半近くの講演を終えました。
この後終了時間近くまで質疑応答が行われました。現在衆院選の最中で、その話題も出ました。労働弁護団も各政党に労働政策に関するアンケートを行いましたが、与野党の回答の違いに、労働者に対する姿勢が示されているようにも思われます。こうした政治の動向にもふまえながら、非正規公務員の待遇改善をもめざし、正規・非正規、公務員と民間労働者、弁護士と労働組合、それぞれの違いにふまえつつ、協力して今後も頑張っていこうと改めて確認できました。総会も無事成功しました。今後ともよろしくお願いします。