ジアス・スタッフ コロナ派遣切り事件

当労組は、株式会社ジアス・スタッフ(名古屋市中村区/代表取締役 渡邉仁里)で雇用され、自動車関連メーカーK社に派遣されていたAさんの雇用問題について、この間交渉を行ってきました。

Aさんの派遣契約と雇用契約終了について、派遣元のジアス・スタッフ、派遣先のK社ともに「新型コロナウイルスの影響」と述べています。コロナによる、いわゆる“派遣切り”ですが、問題はそれだけではありませんでした。Aさんから聞き取った、あるいは団体交渉や関係資料で明らかになったことは、外国人労働者を違法状態で働かせているジアス・スタッフの実態でした。

1 入社と連休前までの状況

フィリピンにルーツをもつAさんは、2020年1月から株式会社ジアス・スタッフと雇用契約を締結し、派遣先である自動車部品メーカーK社に派遣され、工場での製造業務に携わってきました。

4月初め、Aさんと同じく派遣されていた何名かが4月末での契約終了を通知されていることをAさんは知りました。しかし、派遣担当者に確認したところ、Aさんはその中に入っていないとのことだったので、Aさんは安心して仕事に取り組みました。

4月末になり、Aさんは派遣先の上長から、5月10日までの予定だった連休が5月11日までに延びたことを知らされました。また、休み明けの勤務は夜勤からだとも告げられていました。

2 突然の契約終了通告

連休最終日の5月11日、ジアス・スタッフ担当者から突然連絡があり、「Aさんは4月末で終わりになっている」と告げられました。Aさんは連休明けに夜勤から始まるということだけを考えていたので、まさか契約終了(これが派遣終了なのか、雇用終了なのかはAさんもわかっていなかった)の通告を受けるとは全く考えていませんでした。突然のことにわけがわからず戸惑いましたが、Aさんは当労組に相談・加入し、会社との交渉を決意しました。

3 労働基準法、労働者派遣法上の問題

(1)入社時に渡された紙

Aさんは、ジアス・スタッフ入社にあたり、「派遣先の名前と場所、最寄り駅、就業時間と残業時間、休憩時間、時給、締め日と支払日、制服代、従業員互助費?(”EMPLOYEE MUTUAL ASSISTANCE FEE 620yen/monthly”と書かれている)」が書かれた1枚の紙を渡されました。入社時にAさんが渡された労働条件に関する書面はこれだけです。

(2)労働基準法上の明示義務

上記事項以外に、「労働契約の期間、有期労働契約の場合は更新の基準、従事すべき業務、休日、休暇、昇給に関する事項、退職に関する事項」など、書面での交付(またはメール等による通知)が義務付けられている事項については明示されていませんでした。

なお、ジアス・スタッフは入社時に3ヶ月契約の合意があったとの主張をしていますが、少なくとも書面上で有期雇用であることは認められません。

(3)労働者派遣法上の明示義務

労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)では、雇用する派遣労働者に対して、「業務内容、事業所の名称及び所在地・組織単位、就業中の指揮命令者に関する事項、派遣の期間・就業日、始業・終業時間、休憩時間、派遣労働者からの苦情処理に関する事項、派遣労働者の個人単位の期間制限に抵触する最初の日、派遣先の事業所単位の期間制限に抵触する最初の日」の明示、さらに、派遣料金(派遣先が派遣元に支払う金額)についても労働者に対し明示義務があります。労働基準法違反と同様に、多くの事項について違反がありました。

4 多くの労働者が同じ状況の可能性

Aさんは労働基準法上も派遣法上も違法な状態で雇用・派遣され(派遣法に違反しているため、派遣という文言が正確かどうかはさておき)、訳が分からないまま就業打ち切りを通告されました。契約期間が不明だったため、派遣契約が終わったのか、雇用契約が終わったのかさえ分からない状態です。

ジアス・スタッフでは、Aさんのほかにも多くの労働者が派遣社員として雇用されています(あるいは雇用されていました)。先述のとおり、4月初旬で契約終了の通告を受けた労働者についても、契約期間について書面での明示がなされないまま、突然の通告を受けていたようです。さらに、Aさんが派遣されていたK社で働く派遣社員のみではなく、ジアス・スタッフの多くの派遣社員が違法な状態で働かされていた可能性があります。

ジアス・スタッフは、雇用契約書や就業条件明示書等は「あるはずだ」としていましたが、当労組が提示を求めたところ、「鋭意調査中」の挙句、見つけることができなかったといいます。多くの派遣社員がいる中で、労働組合に加入し団体交渉を申し入れたAさんの書類のみが紛失した、ということがあるでしょうか。やはり、ジアス・スタッフでは、労働条件に関する多くの書類を労働者に明示・交付しないことが常態化していたとしか考えられません。

5 情報提供をお願いします

Aさんの事件は、単なる個人の問題ではありません。

「外国人労働者が、違法な状態で働かされ、不要になれば突然切られる」という、コロナ禍で特にクローズアップされてきた問題がここに集約されていると言っても過言ではありません。

ジアス・スタッフで派遣社員として働いているみなさん、これまでにジアス・スタッフで不当な扱いを受けてきたみなさん、派遣先の社員の方々、あるいは、ジアス・スタッフやジアスグループで働いているみなさん、ぜひこの会社の問題について情報をお寄せください。

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