気づかされること

 本日(5日)もそろそろ終わろうとしている。暑かった。昨日は会議の後、先のブログ記事を書いていたら日を越してしまったが、朝いつものように目が覚めた。とはいえ、本日はトヨタのライン停止と関係しての週休三日の第一回目で休みだ。三河支部としては本日はツルタテクノス団交が午後2時からあり、不当労働行為問題のみならず雇止め問題まで発生しているので、担当の運営委員も含めて大変だが、筆者は担当者ではないので出席せず、昨日聞いた話以降は間接的にしかわからないが、会社の強硬な姿勢の背後には、外国人労働者の待遇改善の声を挙げること自体を認められないという、外国人労働者がよく口にする「差別」があるように思われる。それは日本人では気づかない面もあるのではと考えさせられる。

 

 

 

 そんなことを考えさせられるのは、きっかけがいろいろある。まず筆者自身が、先日受け取った給料明細書を見て、額の少なさにショックだったこと。ゴールデンウイークもあって、働いた日数がそもそも通常より少ないことが、時給制で働く身にもろにはねかえっている。それでも、仕事を一定の日に休むように言われたとはいえ、有休消化でのりきれただけましで、休業手当頼み、さらに無給、さらに解雇による失職、というようにどんどん追い込まれていくこと、それを真っ先に外国人労働者が受けているということを、身近に考えさせられざるを得なかった。

 

 

 

 実際、平日というので午前中ハローワークへ行ってみると、雇用保険の窓口も、外国人相談の窓口も、ブラジル人らしき労働者で3密状態だった。席が足りず、立って待っている人、人・・・。ソーシャルディスタンスとかいうけれど、こうやってハローワークに言葉は悪いが尻拭いをさせ、ソーシャルを破壊することをどんどんやっている企業の現状。しかし、そういう企業の姿勢は、企業の側も余裕がなくなっていることもあるのかもしれないとも思った。そして、これだけの失業者に、どれだけの職を紹介できるというのだろう。だからといって、「差別」もやむを得ないというわけでもないのだが。とにかく、解雇というのは、これだけの社会的影響があるのだ、と、改めて思わされた。

 

 

 

 また、普段は見るのが難しい夕方のニュースで、本日は中京テレビで外国人労働者の報道をしていた。最初に名古屋市天白区の徳林寺に全国からベトナム人(大半が技能実習生)が駆け込んできていることについて。住職は先月たまたま見た、Eテレの「こころの時代」でもとりあげられていて、ベトナム人らの支援活動で有名な方で,私も10年ほど前に研修生・実習生問題が焦点になった時から話には聞いていた。そして、インタビューでは当のベトナム人は,職場でいじめられ低賃金で働かされても「日本は好き、いい人がいる」と答え、世話役の在東海ベトナム人協会副会長は日本人との共生を訴える。そういう、母国での生活体験にも裏づけられているだろう「寛容さ」に比べて、日本人はどう接するのか、と問われる気がした。続いて知立団地でブラジル人の相談に乗るミウラ・クミコさん。この方も10年ほど前から名前を知っている方だが、相談に来るブラジル人は、日本語が全く分からずビザの申請書が書けない、1・7万円の家賃が払えない、子供の給食が再開しても給食代が払えない・・という現状。そして、インドネシア人の支援に取り組む名古屋学院大学の佐伯准教授も登場した。これらの姿を通して、こういう「いつも弱い立場から切られる」ことを続けていれば、日本に外国人労働者が来なくなるというかたちで、日本人の生活が続けられなくなる、と問いかけた。そして最後に、徳林寺のベトナム人が、余った支援物資を名駅前で配布したり、働いた時の経験を生かして寺の住居づくりをしたり、と、自ら奮闘する姿を描いていた。

 

 

 

 このように現状に苦労しながら打開しようとしている外国人に、では日本人はどう接していくか、「差別」にとどまっているわけにはいかず、しかし、「差別」でのりきろうとしてしまう自分自身のしんどさに向き合う、というところで、そこで、外にも過去にも目をそむけて「ニッポン」にしがみつきたがる人もいるけれど(「民度」という権力者的基準を使う人も含めるが)、簡単ではないけれど、「共生」の方向にいかないと、いけないのではないか、と、月並みかもしれないけれど、気づかされる。いや、労働組合的には、連帯・団結、と言うべきか。

 

 

 

 しかし、マスメディアも、変なことも言う。NHK「ニュースウォッチ9」で、アメリカ経済が歴史的不況に見舞われつつあることに、広がる抗議デモがさらに追い打ちをかけているというのだ。といいつつ、映像はせいぜい、暴動・略奪に商店が自衛しているという点だけで、あとは解雇とかで失業率が急増している、という話だ。抗議デモを採りあげるなら、失業が黒人に集中しているように、白人が構造的に優位になっている「差別」が警察の暴虐の背景にあり、それもあってデモが大きく盛りあがっているが、他方ではけ口(政府の挑発かもしれない)として略奪が起こっているのではないか、というくらいの掘り下げはしないのだろうか。こういう黒人差別に関係する深刻な問題を、日本経済に影響を与えるアメリカ経済、という採りあげ方の付録のように扱うところからして、おかしかったのかとも思うが、それにしてもNHKニュースウォッチ9の評判が芳しくない理由を垣間見た気がした。まあ、これだけで評価してはいけないけれど。そう、最後は、自分たちが問われるのだから。

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