ユニオンの可能性

 本日(31日)の未明(2:15~3:45)、東海テレビで「さよならジパング~外国人技能実習生たちの告白~」というドキュメンタリー番組をやっていた。コミュニティユニオン東海ネットの一員である岐阜一般労組の甄凱(ケンカイ)さんを中心に活動している「外国人労働者救済支援センター」のシェルターでの外国人実習生の実態を取材したドキュメンタリーだった。ネットで調べると、2月9日の昼(13:25~14:55)に「たそがれジパング~外国人労働者たちの告白~」という番組をやったようで(タレントのLiLiCoさんがナレーターをやったそうだが)番組の概要は今回の番組と類似しており、この間のテレビ事情も考えると、おそらく今回は再編集した番組だったのだろうが、「たそがれ」から「さよなら」に至るのは、「さよならテレビ」という映画化されたドキュメンタリーにも絡めているのだろうか。いやまずは、「黄金の国ジパング」へのあこがれを抱いて来日して、「技能実習」の現場で給料の不当な収奪や労災の放置などひどい扱いを受け、シェルターに身を寄せながら会社と交渉を試みるが、偽装倒産に遭ったりして、在留資格とか将来の見通しとかも絡んで「さよなら」と帰国に追い込まれていくところを訴えたかったのだろう。ただ、私はむしろ、当事者とケンカイさんや北島委員長、監理団体の理事長、介在するブローカー、などの関係も描かれていたところが印象的で、少し離れてユニオンを見るとどうなんだろうか、と考えさせられた。

 

 

 

 本日(31日)の『朝日』朝刊に「ニュースワイド 働くってなんですか コロナショック4 個人加盟の労組今こそ頼りに」という記事が大きく掲載されている。個人加盟労組としてのユニオンについて好意的な記事なのだが、そこでも、有休に関してユニオンで交渉して待遇改善はしたが職場での人間関係が悪化し、解雇を受け入れた、という話が出てきた。当ユニオンの取り組んだ案件かどうか、当方は「少し離れて」いるので確言はできないのだが、こういう結果になることはユニオンの一運営委員としては残念に思う。この記事で「経営側と対等に話し合い問題を解決していくことは『理想論』だとみられがちだが、労組にできることはたくさんある。その役割が改めて重要になっている」と結ばれているように、ユニオンの重要性は前提にするとしてもなお、問題解決は単純にはいかないという難しさがある。「だからお前らは『理想論』だ」と経営側やら第三者やらがわめくのはあんたらに言われたくないよ、と思うとしても、ユニオンはなんでもできますよ、というわけにもいかない。もちろんこの記事にあるように、「行政は法律の範囲内でしか介入できない」ので、労働組合の権利を生かすという意味で当事者も最後にユニオンに駆け込んでくる、というケースが多いと思うのだが、ユニオンにも強さも弱さもあるので、当事者の願いをどれだけ実現できるかということでは、シンプルにはいかないところもある。そこをも、「少し離れて」見てみることも、大事ではあるだろう、とも思う。

 

 

 

 何か弁解じみたところもあるけれど、それでも、当ユニオンは本日、「休業補償・解雇・倒産電話相談ホットライン」、明日と明後日は「職場のいじめ・ハラスメントホットライン」(これは名古屋労災職業病研究会が連絡先になるが)に協力する。当事者はせっぱつまって相談してくる、そこを共有しないとだめではあるけれど、そのうえで可能性を探っていかないといけない。まあ、当事者としては、「少し離れて」他者と会話するだけで解決の手掛かりになるという場合もあり、そしてそれなりの対話をするのだから、そこにも可能性はあり、電話だけで解決しない場合、次の可能性を探ることになる、という訳だが。とはいえ、ユニオンとしては、当事者とユニオン、その他のもろもろの関係者、との関係を「少し離れて」見る余裕も持ちながら、何とかこの危機を打開していかないといけない。外国人が警告しているように、いずれ本当に「さよならジパング」と見捨てられ、切り捨てられるのは、今度は己れ自身ではないか、「理想論」だと冷笑している第三者ではいられないのではないか、そんなことも考えながら、ユニオンの可能性を探っていこう。

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