ユニオン学習会報告

 8月31日(土)午後6時より、ユニオン事務所にて、「働き方改革一括法を学ぶ①労働時間編」をテーマに、ユニオン学習会を開催しました。講師にいつもお世話になっている仲松大樹弁護士(みずほのまち法律事務所)をお招きし、15名ほどで事務所が一杯になるほどの多数の参加者で、質疑応答も活発に行なわれ、充実した学習会となりました。

 仲松弁護士はまず、今回の「働き方改革」は、基本的には経済界の要請に基づいて、労働法制の根本的な変更の第一歩として成立させられ、そこに含まれている「労働時間規制」にしても、労働者を生産性を上げて「儲け」を増やすために生かさず殺さず働かせるためという面を持つが、同時に労働者としては長時間労働に抗して生き働いていくための闘いに活用できるという面を持ち、この両者の緊張関係の中でとらえる必要がある、としました。

 このように「働き方改革」とその中の「労働時間規制」の基本的性格を明らかにしたうえで、労働時間に関しての具体的な概要の説明に移りました。まず時間外労働の上限規制に関して、労働時間は1日8時間、週40時間が原則で、例外として、36協定により限度時間(1月あたり45時間、1年あたり360時間)を上限とし、さらに例外として、「特別条項」を定めて、臨時的に1月につき100時間未満、1年間で720時間、45時間超えの月は6月以内、を上限としなければならない。このように上限規制を(内実はともあれ)法律で罰則付きで定めたこと、また労働時間の客観的把握義務を定めたことは意義があり、労働者としては、この上限規制を生かした36協定を締結できるように過半数獲得をめざす、などが必要、としました。

 次に中小事業者に対する月60時間超の時間外労働の割増率加算猶予の撤廃等に関しては、原則は割増率の下限が50%で、その適用は現在は猶予されているが23年4月から全事業者の義務となる、としました。ただ、例外としては、代替休暇の取得で25%割増でも可能としているが、その場合は代替休暇の取得方法など難しい問題があるし、そもそも時間外労働を60時間以上させることが問題、としました。

 次に年次有給休暇についての時期指定義務の導入に関しては、労働者自身が時期を指定するのが原則で、例外として、年休が10日以上あるが労働者が5日未満しか取得していない場合、労働者が取得した日数を除き、使用者が時期を指定して与える必要がある、その場合時期指定の前に労働者の意見を聞く義務があり、それを考慮する努力義務がある、としました。そのうえで、労働者がどう希望を通していくかなどが問題になる、としました。

 次に高度プロフェッショナル制度の新設に関しては、適用対象がかなり限定されているが、労働者としては、労働時間規制が適用されない労働者を初めて制度的に認めることや、その適用対象が今後拡大されるかねないことに対しての抵抗が必要、としました。

 最後にその他として、労働時間の客観的把握義務の法定化、勤務間インターバル制度の導入を努力義務として規定、産業医・産業保健機能の強化を図っていること、を挙げて、1時間にわたる講演を終えました。

 休憩後、質疑応答に入りましたが、内容は全般にわたり、また質問も、専従を務める参加者からは実務的・専門的で、ユニオンでの多数の経験に基づいた質問、そうでない参加者からは多様な内容で次々と出され、仲松弁護士も的確に返答されていました。また意見もいろいろ出ましたし、午後8時半の終了まで、活発なやりとりが続き、また参加者も体験に即した発言が多く、実になる学習ができました。

 次回の学習会は9月28日(土)午後6時から、ユニオン事務所で、「貧困について考える」をテーマにして行います。

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