海部ペリカン配送、団体交渉申し入れに応じず
株式会社日本郵便の配送業務を請け負っている海部ペリカン配送(愛知県海部郡蟹江町/配送業/代表 西川原 清貴)で働いていた元従業員数名が当労組に加入し、現在交渉の準備を進めています。
2018年11月19日以降、当労組は海部ペリカン配送に対し団体交渉の申し入れも含め3回にわたり文書を送付しました。しかし会社側の対応は酷いもので、1回目は「不在留置期間切れ」、2・3回目(いずれも団体交渉申し入れと封筒に明記)は「受取辞退」。団交拒否の不当労働行為です。さらに12月18日付内容証明郵便にて未払い賃金の請求書を送付していましたが、これについても「受取辞退」。今後は労働組合としての行動、そして具体的な法的対応を進めていくよりほかありません。
この事件の概要は以下のとおり。
海部ペリカン配送は、日本郵便から請け負った配送業務を、出来高制の請負だとして当該組合員らに割り振っていました。しかし実際の現場では、出勤日や出勤時間、配達日、配達個数を指定されるなど、彼らに裁量(請負的な要素)はありませんでした。よって、彼らは労働基準法の適用を受ける労働者と考えられます。
配送業務は早い人でも8時から20時過ぎまでかかり、その間休憩もろくに取れないような状況で従業員は働かされ続けてきました。この実働時間で考えると、人によっては最低賃金を大きく下回っています。
さらに問題なのは配送前の郵便局内仕分け作業です。
郵便局職員の出勤時間を待っていては間に合わないため、当該組合員らは6時40分には出勤するよう指示を受け、そこから1時間仕分け作業に従事していました。
そして、配達とは別計算で仕分け作業に対する給与が支払われていましたが、なんとその金額は1日につき150円。1回の仕分けは1時間程度(さらに長い場合もある)なので、単純計算すると愛知県の最低賃金を748円下回っています。
今回申し入れている内容は以上の状況による未払い賃金です。
海部ペリカン配送代表の西川原清貴氏は速やかに団体交渉に応じ、問題解決に対し誠実に向き合っていただきたいと思います。
一方、日本郵便の配送コストを削減するために下請け会社に低コストで業務を請け負わせ、その内部でのやり方を放置していることも事件の原因であると考えられます。この構図は、他の地域でも十分起こりうる(あるいは全国的に問題化してくる)問題です。
なお、この件に関しては、海部ペリカン配送と請負契約を結んでいる日本郵便に対しても問題解決に向けて対応を申し入れていますが、現時点では積極的な解決姿勢はみられません。
状況によっては、海部ペリカン配送や日本郵便への申し入れのみならず、しっかり社会問題化していく必要があります。