雇用を守る?2
今日(23日)の『朝日』朝刊によると、厚労省の集計では、コロナの影響での解雇・雇い止めが、4月末で3771人だったが、今月21日時点で1万835人に急増しているという。各地の労働局が把握できた数なので、実際はもっと多いだろうとのことだ。今後、正規・非正規の内訳をつかみ、また派遣社員向けの相談窓口も今月中旬から置いているそうだ。当ユニオンも5月から多忙を極めているのも、こうした解雇・雇い止めへの対応が主となっている。
全国的にも、緊急事態宣言解除で、コロナの影響で企業経営が深刻化している現状の打開が図られつつあるが、現場では苦境が続いている。以前のブログでNHKのローカル番組「ナビゲーション」を紹介したが、昨晩(本日朝に再放送)は経営者の資金繰りに苦悩する姿を紹介していた。地元の信用金庫が融資で支えているところに焦点を当てていたが、それでも不良債権化も考慮する必要はあるようだし、19日の新聞報道では上場地方銀行の7割が減益・赤字というし、となると、民間頼みだけでなく公的支援を、という声は切実になってきているが、限界があるというので、とうとうヤミ金業者に、という風にもなってきてもいるようだ。
カネはあるところにはあるようにも思うのだけれど、資本としては増殖するのがサガ。法務省勤務時代に共謀罪制定にかかわった某検察庁幹事長も、ギャンブル好きのサガが災いして、新聞記者と“共謀”している姿を暴かれて定年延長も検事総長も夢と消え、自己都合退職?。選挙での金バラマキ事件やらIR(カジノ施設)汚職やらの立件(防止(?)に関わる機会もなくしてしまった。しかし、ウン千万の退職金がもらえる見通しらしい。退職金もない当方はまたもあぜんとするばかりだが、解雇・雇い止めにあっている労働者はもっと憤懣やるかたなし、という状況ではないか。当ユニオンの外国人労働者の最大分会になってきた碧海工機分会も、分会員の大量雇止め問題で、団体交渉のスケジュールを控えており、それに向けて、明日の三河支部会議での意志一致をしないといけない。こっちは3密だの、“共謀”だのと、いろいろ考えないといけないのだから。まあ、当ユニオンの会議に“共謀罪”が適用されるまでにはまだいかないかもしれないが、関西生コン労組への弾圧は共謀罪の先取りという話もあるわけで、こういう「犯罪」に関して、起訴するかどうかは検察が決めるわけだが、そのトップがああで、司法権力と「権力分立」しているという行政権力のトップもああだとねえ。
と軽薄口調ばかりではいられない。当方はテレビをよく見ているが、テレビもコロナの影響で番組づくりに苦慮しているのか、しかしそれでも報道すべきことは報道しようという職業意識もあってか、15日に放映された『ナビゲーション』は、「NHKプラス」では26日(火)午前3時10分まで放映されるようで、全国で見られる人ができるのは良いことだ。
映像といえば21日の日弁連のオンライン集会(「期日を止めるな!労働審判&労働委員会の早期開催を求める!」Web集会)で当ユニオンの鶴丸委員長が、労働委員会の期日の延期や団交拒否による解決の遅れなどの実態を報告する発言をした。19日の日本記者クラブでの、「派遣切り・非正規労働者の現状」に関する会見で、ユニオンみえからも発言している動画も公開されているが、外国人労働者は事情をよく呑み込めず、書類も確認せずに署名するというケースがあるという話をされていた。あのリーマンショックでの外国人労働者の大量解雇の時と、同じ問題が繰り返されている、と当方は思わざるを得なかった。
こういう外国人労働者の問題の困難さは、NHKの別のローカル番組でも感じさせられた。先の『ナビゲーション』で豊橋のブラジル人が電話での職探しで電話していた島根での、ブラジル人労働者に関する番組(さんいんスペシャル「翻弄されて~“パイゾン”が見た外国人労働者の今」(5月8日放送、22日未明に当地で放映)では、“パイゾン”(大きなお父さん)と親しまれるブラジル人男性が、リーマンショックを乗り越えてレストランを経営しながら、ブラジル人の相談に乗っているのだが、米日貿易摩擦・コロナ感染者発生による工場の操業停止、により収入が激減したため、帰国するブラジル人が増える中、日本で地域の助力を得ながら家を買うまでになっても、その家もローンも残したままブラジルに帰国するブラジル人労働者家族との別れを強いられた。それでもなお、農業に活路を見出そうとしている姿を描いていた。こういう仲間思いは、当ユニオンのブラジル人組合員からも感じられ、当方もいろいろ考えさせられた。明日の三河支部会議を、成功させるため、がんばろう。