関西生コン労組つぶし問題講演&討論会に参加
9月21日(土)午後1時半より、金山駅近くの労働会館にて、関西生コン労組つぶしの弾圧を許さない東海の会が主催した講演&討論会が開かれました。120名の参加者で盛況でした。うち当ユニオン組合員は、賛助会員を含め10名規模で参加しました。
まず石田好江共同代表が開会挨拶を述べた後、熊沢誠さん(甲南大学名誉教授)が、「存亡の危機に立つ労働組合運動と憲法28条ー関ナマ労組つぶしはなにを意味するか」との演題で講演しました。講演ではまず、関ナマ労組への常軌を逸した組合つぶしは、民法上の免責(企業の取引の制限ということだけでは損害賠償を請求されない)と、刑法上の免責(一人による行動が合法であれば組合が集団で行なっても合法)という、憲法28条に基づいての労働組合運動承認の「黄金律」の蹂躙であるとし、これは、ストやピケを行なう「過激派」労組を弾圧しても大規模な抵抗はないと読んで行なわれているのでは、としました。
次に関ナマ労組がターゲットにされたのは、例外的に「まっとうな」労働組合だからだとして、その「まっとう」さについて、正規だけでないミキサー運転手を企業の枠を超えて組織する産業別・業種別の単組であること、雇用主に協同組合の形成を促し労組と交渉するとの独自の産業政策を展開していること、価格維持や不正防止などを目的にストやピケを行なうこと、を挙げ、この「まっとう」さを、「営業妨害」をする、現体制に許されざる労働組合とみなしている、とまとめました。そのうえで、資本と警察の弾圧の具体像として、資本としては変質した大阪広域協が、関ナマ労組排除と、労組に連携する企業の妨害を行ない、警察としては、右翼排外主義グループを先行役として、ピケなどを不法行為とし、共謀罪の先取り的な捜査を行ない、取り調べでは拷問がないだけの治安維持法並みに、関ナマつぶしの不当労働行為を、警察としてやっていることを指摘し、これは、刑法上の免責蹂躙であるとともに、裁判次第では、民法上の免責剥奪の可能性もある、とし、最近では非正規労働者の正規化や協同組合参加企業への就職斡旋も罪に問う動きもあり、これは、大企業の財務にいささかも打撃にならない形式的な「労働組合」のみしか許さないという、まっとうな労働組合にとって最悪の危機としました。実際、滋賀県警警部は「本庁指示でやっている」との発言をしているとのことでした。
そして最後に熊沢さんは持論を展開しました。ふつうの労働者にとっての民主主義は、労働条件への決定参加権を実現するための、労働三権が保障された労働組合運動による産業民主主義の実現であり、政治的民主主義で労働条件を維持向上させるのは限界があるとし、したがってまっとうな労組の一掃は、もっとも悪質な民主主義の破壊であり、したがって、関ナマ弾圧は違憲であり、関ナマ擁立は必須の護憲運動だ。しかし、労組も野党もマスコミも、全体としては、関ナマ弾圧に沈黙したり無視したりしている。これは、産業民主主義への鈍感さ、労働問題の真の解決者としての労働組合運動への絶望という風潮と関係している。だが関ナマ弾圧の粉砕は護憲闘争の喫緊の課題のひとつであり、この「空気」を変えることが必要。ファシズム到来の可能性、関ナマ圧殺はやがて私たちすべての自由と民主主義と抵抗の圧殺となることに気づこう。そのために今必要なのは、大衆的街頭行動、それを包む労働組合の抗議行動。労働者市民の幅広いが非妥協的な戦線構築、野党の関ナマ問題の政治課題化だ、と訴えて、一時間余の講演を終えました。
休憩後、討論に移りました。コーディネーターとして柿山朗共同代表がまず、元海員組合全国委員として、海員組合は関生労組と似た組織形態だが、海運業が下げ潮になると労使協調一本鎗でやってきた限界が出て、企業間格差拡大や合理化に抗せなかった、という反省を述べたうえで、会場からの意見がいろいろ出されました。
講演に関連しての質問に対して熊沢さんは、日本で企業別組合が大多数になって衰退した経緯について、労働条件の企業横断的な標準化や地域共闘ができずに、企業内での昇給・昇格に巻き込まれた歴史の問題とか、正社員組合が正社員の個人への分断に対応できていないとか、コミュニティユニオンへの弾圧についてはまだコミュニティユニオンの産業レベルへの影響力が弱いという問題はある、とか、JR東労組への攻撃については、統制がとれ政治課題にも取り組む労組という意味では「過激派」として攻撃対象になった可能性はあるがよくわからないとか、沖縄問題については、座り込みを続ける場合、沖縄の人々の本土に対しての思いとかもあるだろうことや、座り込みとかに対して国会とか「国民の理解」とかばかり気にして、ラディカルな運動を軽視するのはどうか、とか、言われていました。また、関生労組の一般組合員の方からは、逮捕や解雇にあい、組合つぶしの攻撃も激しいという厳しさもあり、支援を訴える当事者としての切実な発言もありました。また、東海ネットに参加する各団体の方々からはそれぞれ、関生労組への弾圧を自分たちの運動にもつながる問題として受け止めるとの発言がありました。また他の労組の方々からも、それぞれ自分たちの立場での受け止めや行動を率直に話されました。
最後に熊沢さんが、関生労組の方の発言に感銘したとか運動を広げる提起をしたり、労働組合は分断に抗して闘おうと呼びかけたり、政治的課題に取り組んでいる団体や、労働問題の研究者でも、この問題についてはなお鈍感なところがあるのではないかとの率直な意見とかを述べたりした後、中谷雄二共同代表が、あいちトリエンナーレの問題もそうだが、ファシズムの危険が迫っているが、弁護士も鈍感なところがある。実力闘争、命がけの厳しい闘い、が問われる、がんばろうと閉会挨拶をして、午後5時ごろ、閉会しました。
その後懇談・懇親会が行われました。当ユニオンの組合員は、次に組合の行事であるユニオンセミナーが予定されていたので、一部が討論会の途中で退席するなどとなりましたが、この会で叱咤激励もされたと受け止めつつ、今後もがんばっていこうと思わされました。参加した皆さん、お疲れ様でした。