愛知学院大学分会員Aさん提訴・記者会見
12月26日(木)、愛知学院大学分会員で、50歳台の女性准教授Aさんが、昇進差別を含むハラスメントを受けたとして、学校法人愛知学院と、教授2名に対して、1000万円余りの賠償を求めて名古屋地方裁判所に提訴しました。提訴後、近くの桜華会館で午後3時から記者会見を行いました。記者会見はマスコミ各社の記者・組合員・支援者を含め20名規模での開催となり、質問も次々に出て、裁判勝利に向け励まされました。
記者会見は、「愛知学院大学昇進差別事件記者会見~公正で差別のない大学を目指して~」と書いた模造紙と、当ユニオンと全国ネットののぼりをバックに、Aさん・弁護団の田巻紘子弁護士・中谷雄二弁護士・当ユニオン2名が、前に座り、発言の後、記者の質問を受ける、という形で行われました。
最初に田巻弁護士が、訴えの趣旨説明を行いました。Aさんは、他大学で教員を務めた後、2012年に愛知学院大学に講師として勤め始めた後、3年10ヵ月平均で准教授に昇任するのが慣行であるにもかかわらず、9年8ヵ月経ってようやく准教授に昇任し、現在もそのままになっている。この賃金差と精神的苦痛の賠償を求めるというのが一つの柱で、もう一つの柱は、原告に対する性差別や、関係者に対する人種差別、また総じてハラスメントが背景にあることについて、責任を問うことだ、とし、原告がハラスメント救済を求めて申し立てても、労組(当ユニオン)に加入して交渉しても、大学は対応してこなかった、としました。中谷弁護士も、ハラスメントを調査する委員会に、加害者の教授が入っているなど、大学の対応はひどすぎる、として、内部的な救済はできないというので提訴に至った、と補足しました。
続いて原告Aさんが発言しました。Aさんは、3点にわたって訴えました。一点目に、自身の博士後期課程入試の際、2名の教授が圧力をかけて、不合格になるようにしたことなど、継続して昇進差別を受けたこと。二点目に、留学生や、留学生を支えた学生へのハラスメントが行われたこと。例えば、英語は堪能だが日本語が困難な留学生の博士前期課程の入試に際して、これまでは英語で問題が出ていたのが、突然日本語での問題が出されたりしたため、精神的ショックを受けて帰国に追い込まれた女性のケース。三点目に、実効性のないハラスメント救済の手続きについて。ハラスメントの救済申し立てを2回行ったが、1回目は明確な理由もなく不認定とされ、2回目は未だに無対応。ユニオンに加入して交渉しても「大学の自治」を理由に回答拒否するなど、真摯な対応が全くない。この裁判で、自分や、留学生を含む院生に対するハラスメント、差別が、他大学でも起こらないようにしていきたい、と述べて、発言を締めくくりました。
続いて上記の入試でショックを受けて帰国に追い込まれた女性のビデオメッセージが流された後、最後に当ユニオンから鶴丸委員長が、団交を4回やり、今も申し入れをしているが回答期限を過ぎても回答をしてこないこと、11月11日に不誠実団交・支配介入と主張して愛知県労働委員会に申し立てを行った、と発言しました。
その後、共同通信・中日・NHK・時事通信・朝日・毎日の各記者からの質問が次々とされ、活発な応答となり、記者の関心の高さが窺えました。NHKのテレビカメラマンも来ていました。記者会見は全体としては1時間程度で終わりましたが、会見後も、記者が個々に取材を熱心に行っていたので、今後、大きく採りあげられていくことが期待されます。実際、NHKテレビの地域ニュースや中日で報道されました。今後も、裁判勝利に向けて、がんばっていきましょう。