法人Xはパワハラを認め、雇止めを撤回せよ!

<この事件は、その後の団体交渉により解決しました>

 

 当ユニオン組合員のAさんが勤務していた法人Xにおいて、昨年6月、不当な雇止めが行われました。

 

1 プライベートな活動を理由に雇い止め通告

 法人Xは、Y市の指定管理者として5施設の運営を委託されています。その施設の一つにパートタイマーとして勤務していた組合員のAさんは、プライベートな活動を理由に、2020年6月末をもって雇止めとなりました。

 プライベートな活動とは、Aさんが国政や市政を批判する替え歌を作って歌うグループに参加していたことです。2020年6月1日に、理事長、事務局長、前事務局長に、会議の途中で施設の駐車場に呼び出され、そのグループに参加して活動しているかどうかを確認されました。その後「グループの歌は、法人Xの活動を揶揄している」、「悲しい思いをした」、「プロポーザルに向けて心を一つにしなければならない時に」等の言葉を浴びせられ、反論の機会も与えられないままに、理事長より6月末日での雇止めを口頭で通告されました。指導や注意もなく突然の雇止め通告でした。

 こうした言動は、職場での立場を利用し労働者のプライベートな活動に立ち入り、しかもその活動を問題として労働契約に関連付けたものであり、「個の侵害」のパワハラに該当します。理事長の人事権の濫用です。また、憲法で保障されている、思想・信条・表現の自由を侵すものです。

 

2 第1回団体交渉で明らかになったこと

  その後、ユニオンでは法人Xに、パワハラが行われた事実を認め、Aさんに謝罪し、雇止めを撤回するよう団体交渉を申し入れました。

 2020年7月13日に行われた第1回目の団体交渉では、事務局長が参加し、Aさんの歌のグループへの参加についてやりとりがありました。その場では、事務局長はAさんが具体的にどのような活動をグループでしていたのかも知らず、またAさんの活動を前事務局長がどのようにして見つけたのかも分からないということが明らかになりました。つまり、具体的な活動を事務局長や理事長は知らない状態のまま、雇止めの処分が行われたということです。

 法人側は、やはりこの団体交渉においても、Aさんが替え歌のグループに関わっていることが雇い止めの主要な理由であり、そのグループの活動は法人の活動を批判するものであるから問題だと主張しました。

 

3 Aさんのプライベートな活動はどうやって探られたのか

 その後、法人X事務局より、前事務局長がどのようにしてAさんの活動を知ったのか、代理人の弁護士を通じて文書で回答がありました。そこには、Facebookを使って、グループメンバーである他の人の投稿からAさんの名前を見つけ出し、検索を繰り返してAさんがグループに参加していることを突き止めたことが書かれていました。

 プライベートな活動について、執拗に追跡し、特定し、それをもって雇止めの根拠とする、そうしたことが逆に明らかになりました。

 

4 法人側主張の変遷と契約継続が決まっていた事実

 ところが、9月18日に行われた第2回目の団体交渉から、事務局側は歌のグループの件やパワハラを正面から取り上げようとせず、雇止めの理由を「契約期間の満了」、「不足していた人員が充足した」、「高齢者は減らしていく方針だ」などと論点をずらしてきました。

 しかし、2020年6月9日にAさんは、理事長に電話をかけ、6月1日の雇止め通告の理由が歌のグループに参加していたことである旨の確認をしています。

 そもそも6月1日に雇止めを通告されたときには、Aさんは期間満了や人員の充足などという理由は告げられておらず、歌のグループのことが理由として挙げられていただけでした。

 さらに、2020年1月29日に行われた前事務局長との人事に関する面談において、前事務局長の方から、6月頃まで新入スタッフの育成のためにパートタイマーとして残り、その後はアルバイトに転換して仕事を続けてほしいという話が出され、その場でAさんも受け入れ、7月以降の契約についても双方で合意がなされていました。その話に沿って、6月までパートタイマーとして雇用の延長はされ、7月、8月のシフトもすでに組まれていました。職場の施設では、誰もがそのような予定で全てを進めていました。

 

5 今後について

 第2回以降の団体交渉では、法人Xは当ユニオン側からのプライベートな活動に関わるパワハラという指摘を無視し続けました。その結果、団体交渉は平行線をたどったままになり、労働委員会でのあっせんも試みましたが不調に終わりました。

 今後は、ユニオンとして必要な宣伝行動や団体交渉、その他可能な限りの行動を進め問題解決を求めていきます。

 また、この問題に関し何か情報をお持ちの方は当ユニオンへご連絡ください。

 

法人Xはパワハラの事実を認め、

Aさんに謝罪し、雇止めを撤回せよ!

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