外国人差別と闘う

16日午後7時半から、ヒサダ(安城市)団交が開かれ、定年後の組合員の労働条件の不利益変更に関わる問題に関して交渉しました。17日の派遣会社F社との交渉は、ブラジル人労働者が、3か月の契約を更新していたのに1カ月契約に変更になり不安になっていたのですが、雇用延長を実現しました。外国人の労働条件の悪化、雇止め、に対しての闘いは、今も、今後も、相次いでいます。(追記(7月2日):上記のF社との交渉は、円満に解決しました)

 

 

 

 そして、同日発売の『サンデー毎日』(6月28日号)に、5月24日の三河支部会議を取材されたジャーナリストの安田浩一さんの記事が掲載されています。当会議での取材内容も盛り込まれており、お礼も兼ねて、この場で紹介させていただきます。直接本文を読まれるのがベストですが、記事は、「ヘイト街宣、不当解雇の『感染力』 熱闘ルポ 非常時外国人差別の醜い現実! 反差別の潮流が世界中にうねる中で」と題され、4ページにわたり、「熱い」、「闘い」の精神に満ちた内容です。

 

 

 

 まずは以前のこのブログ記事でも紹介した名古屋市の徳林寺。住職・駆け込んだベトナム人元技技能実習生2名がインタビューに答えています。6月9日現在、45人(!)が生活し「数が減る気配は見えない」といいます。「何よりも手元に金のない」状況に、安田さんは「昂然と胸を張り、前に進むだけの勇気も知恵も、そして賃金も、日本は何も提供していない」と憤りを込めて結んでいます。

 

 

 

 そして、仲立ち役の「在東海ベトナム人協会」の方の発言を引いてつけられた「真っ先にクビを切られるのは外国人」との見出しで、その協会の方、群馬県太田市のネパール人労働者、在日ネパール人サーザ福祉協会理事長がインタビューに答えています。筆者も驚かされましたが、現在外国人労働者は、家族も含めれば(非正規滞在の人を除いても)、大阪市の人口を上回る規模(約290万人)になっているのです。しかし、非正規滞在に追い込まれもしたら、今回の10万円の特別定額給付金も貰えず、支援団体の食糧だけが命綱で、上記の支援団体でも「相談に来るネパール人が日に日に増えている」状況といいます。

 

 

 

 次いで、「コロナ禍のブラジルには帰れない」との見出しで、当ユニオンの三河支部会議に参加したブラジル人労働者2名(ちなみに、最初出てくるKさんは派遣会社を雇止めされたとなっていますが、正しくは直接雇用です)がインタビューに答えています。見出しは後のNさんの発言を引いています。そして次にユニオンみえの神部書記長と2人目の子供を妊娠中のブラジル人労働者がインタビューに答えています。インタビューの肉声は、必死さと悔しさと憤りに満ちているとともに、神部書記長の言うように、「コロナ便乗解雇」という、単にコロナだから仕方ないではすまない、冷徹な企業の追求があるのだと思わされました。

 

 

 

 そして最後に、「ウイルスも差別も弱者に襲いかかる」との見出しで、以上のような外国人労働者の雇用崩壊だけでなく、「コロナ禍は、日本社会の差別と偏見を“非常時レイシズムともいうべきわかりやすい形で突出させている」として、中国人・朝鮮人など、外国人差別を示す事態が続出していると列挙されています。筆者が知らないことが多かったのですが、コロナ禍に便乗し「シナ人」を連呼するヘイトデモが銀座で行なわれたとか、藤田医科大岡崎医療センターへのクルーズ船感染者受け入れについて愛知県に「外国人に税金を使う」などの抗議電話が相次いだとか(「(俺の気に入らない)“表現“に税金を使うな」とかとリコール運動も起きていますが)、先月22日に在日クルド人男性への職務質問の際、首を押さえこみ「なめんなよ」と暴言を吐いたとか(アメリカでの黒人男性が白人警官に首を押さえられ殺される事件は25日に起きました)、安田さんが「「非常時レイシズムと便乗解雇は、ウイルス以上の感染力を持って日本社会に広がっている。こうした空気感が権力の暴走を招く」「差別を許さない、そんな世界的な潮流に逆らうかのように、日本ではヘイトな空気が濃度を増している」と評しているのは、その通りだと思わされました。

 

 

 

 そして安田さんは「分断は日本社会が一方的に強いたものだ。外国人排除を目的とした線引きは、社会の荒廃しかもたらさない」とまとめ、「“ポストコロナ”をさらに荒んだ時代としないためにも、いま、わたしたちにできるのは、理不尽な差別を断固として拒否することではないのか」と結んでいます。この熱いメッセージに、私たちは労働組合として、応えていきましょう。

 

 

 

<追記(21日)>本日朝、以前のブログ記事で紹介した、NHK総合で放映された「翻弄されて~“パイゾン”が見た外国人」が、「パイゾンが見たニッポン~出雲 外国人労働者はいま~」と改題されて「目撃にっぽん!」で放映されました。見逃し配信もあるので、ご覧ください。それにしても、日系ブラジル人を使い捨てることを「転出」と称してNHKに回答してくる村田製作所も、「ステークホルダー」とか何とか言うのなら、もう少しソーシャルな立場を考えられないものですかね。

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